BIMは普及していない?普及しにくい理由とオペレーターの需要
BIMは「Building Information Modeling」の頭文字を取ったもので、日本では「ビム」と呼ばれています。設計職やCADオペレーターの転職先の一つとして、BIMオペレーターになりたいと考えている方も多いでしょう。そこで本記事では、BIMオペレーターの需要などを解説します。
BIMは普及しにくい?その理由とは
BIMを業務に取り入れるには、多くの時間と労力を費やす必要があります。とくに、これまで2D CADなどのツールに慣れている技術者にとっては、追加される機能や種類が多く、理解して実践するまでに大きな負担が伴います。
さらに、実際の業務と並行して学ぶことになることも、普及しにくい要因といえるでしょう。また、BIMを導入するには、多額の初期投資が必要です。ソフトウェアのサブスクリプションサービスを利用しても、1ユーザーあたり1年間で数十万円が必要となるため、コストメリットを感じにくいといえるでしょう。
さらに、BIMが普及しにくい背景には、発注者や関係者からの需要が低いことも関係しています。そのほか、BIMマネージャーの人材不足も理由の一つでしょう。BIMを効果的に活用するためには、プロジェクト全体を管理し、関係者間の調整を行う専門的な人材が必要です。
しかし、こうした役割を担える人材は限られており、多くの企業で人材確保が難しいのが現状です。BIMマネージャーは技術的な知識だけでなく、プロジェクト管理やチームとのコミュニケーションスキルも求められるため、育成には時間と費用がかかります。
企業にとってBIMの導入はメリットがある
BIMはさまざまな理由から普及が進みにくくなっていますが、導入することで企業にメリットがあるのも事実です。たとえば、企業がBIMを導入することで、設計や施工における修正作業の手間を削減することができます。
BIMでは3次元モデルを用いて設計全体が連携しているため、一箇所の修正が全体に自動的に反映される仕組みが整っています。そのため、設計段階での作業効率が大きく向上し、修正作業にかかるコストや時間を削減できるのです。
また、BIMを活用することで、クライアントとの間で起こりやすい「思い違い」や「勘違い」を減らすことができます。設計初期段階から3次元のデータを扱うBIMでは、建物の形状や内部の構造などを詳細に共有することが可能です。
従来の2D図面では、クライアントが設計内容を正確に理解するのがむずかしく、完成後に「イメージと違った」という問題が発生することも少なくありませんでした。しかしBIMを導入すれば、クライアントが設計の具体的なイメージを確認しやすくなり、設計者とクライアントの間で起こりやすいイメージの違いを軽減できるのです。
BIMオペレーターの需要はあるのか
国土交通省が2022年に行った調査では、企業のBIM導入率は48.4%となっており、半分以下に留まっていることがわかっています。革新的な技術にもかかわらず、普及が進んでいませんが、今後需要は拡大していくことが予想されます。
BIMの導入はこれまで大手建設会社を中心に進められてきましたが、近年では中小規模の建設会社にも普及し始めています。その理由として、設計や施工における効率化や品質向上といったBIMのメリットが広く認識されるようになったことが挙げられます。
このような流れを受けて、BIMオペレーターの需要も着実に高まると考えられるでしょう。しかし、現在のBIMオペレーターの求人状況を確認すると、CADオペレーターより求人数が少ないのが現状です。
ただし、今後、BIMオペレーターの求人数は増加すると予想されます。現在のBIMオペレーターの求人を見ると、CADオペレーターとしてのスキルや経験があれば応募可能なものが多く、BIMオペレーターとしては未経験でも応募できる求人が多くなっています。
しかし、今後需要が拡大していくと、競争率が高まり、BIMオペレーターとしての経験や知識がなければ応募できない求人も増えるでしょう。そのため、これからBIMオペレーターとして活躍していきたいと考えている方は、早い段階で知識や経験を積んだり、転職を検討したりするのがおすすめです。
なお、海外では設計段階でBIMの利用を義務付けているところもあり、日本でもBIMを普及させようとする動きが活発化していくと予想されます。国土交通省による「BIMガイドライン」が発表された2015年以降、公共事業からBIM化を目指そうとする動きもあります。このように、BIMは将来性も期待できるため、BIMオペレーターの需要も高まるといえるでしょう。
まとめ
現状、BIMオペレーターの求人数は少ないですが、今後は需要が拡大していくことが予想されます。CADオペレーターの知識や経験があれば応募できる求人も多いため、関連する職種からの転職を考えている方は、需要が拡大し始めている今の段階で、転職を検討したり、BIMについての勉強をしたりして、行動し始めるのがおすすめです。また、BIMは将来性も高いと考えられるため、BIMオペレーターに転職した後も、活躍の場が広がっており、キャリアアップを目指していけるといえるでしょう。