意匠設計ってどんな仕事?必要なスキル・資格も解説!

       

公開日:2023/12/15  最終更新日:2023/12/14

意匠設計とは、どのような仕事のことをいうのかご存じでしょうか。名前は聞いたことあっても、具体的な仕事内容を理解していない方も多いでしょう。この記事では、意匠設計の仕事内容や、必要なスキルや資格について解説します。また、ほかの設計者とどのように関わるのかも説明しますので、参考にしてみてください。

意匠設計の仕事内容とは

意匠設計とは、建築主の要望をくみ取り、建物の役割や使われ方を理解し、建物をデザインする仕事のことをいいます。建設地の歴史を考慮した外観デザインや、利用者の動線を意識した構成、法基準の遵守など、さまざまな要素をまとめ上げ、建物の設計に落とし込まなくてはいけません。意匠設計は大きく分けて、基本設計と実施設計に分かれます。具体的な仕事内容について見ていきましょう。

基本設計

まず、外観、階数、大枠の面積などを基本設計で決めます。ただし、ある程度の変化にも対応できるようにしておく必要があります。自由度を残しておいた上で、設計する建設物の方針を決定することが目的です。基本設計の段階では、建築主がイメージしやすいように設計することが重要です。

実施設計

建築主が基本設計の計画に合意し、契約を交わしましたら実施設計に進みます。実施設計では、工事に関わるすべてのものを決定し、図面にします。すべてのものを決定するため、基本設計と比べると長い時間を要し、建築の細かい部分まで理解していることが重要です。

建築主との打ち合わせが重要

意匠設計の仕事は、建築主との打ち合わせが最も重要です。建築主の要望を理解してデザインしないと、提案を受け入れてもらえず、やり直しになります。建築士は建築の知識がないことも多いため、建築の知識がない人にも分かりやすく丁寧に説明しなくてはいけません。分かりやすく丁寧な説明を徹底することが、全体の効率化にもつながるでしょう。

ほかの設計者とはどのように関わるのか

設計者は、意匠設計者・構造設計者・設備設計者に分かれており、それぞれの専門性によりひとつの建物を完成させます。意匠設計者・構造設計者・設備設計者は、それぞれがコミュニケーションを取りながら設計していくことが重要です。

構造設計者は、災害に対する安全性を考えて建物をデザインします。設備設計者は、1年を通して快適に過ごせる建物をデザインします。構造設計者と設備設計者は、意匠設計者だけでは足りない部分を、専門知識や技術で補う存在です。ほかの設計者との関わり方について詳しく見ていきましょう。

構造設計者

構造設計者は、意匠設計者が行った設計に対し、柱や梁を配置します。大空間には、柱はない方が望ましいのですが、場合によって梁を大きくするなどの対策をする必要があります。その場合は、天井を低くする必要があり、意匠設計者にも影響が及びます。

とくに大空間などの特殊な条件の場合は、早い段階で情報を共有し、必要な対策をお互いに把握しておかなくてはいけません。また、災害による安全性を高めるためには、意匠設計者も必要な部材や構造計画などを理解しておくと、設計を進めやすくなります。

設備設計者

設備設計者は、空調や照明、給排水など、快適な建物に必要な設備を設計します。天井の高さの調整も重要であり、しっかり打ち合わせをしないと配管の計画が成り立ちません。そうならないために、天井の高さなどの設備計画に影響がある部分は、こまめに情報を共有することが大切です。

また最近では、建築主から省エネ性や環境への配慮を求められるケースも多いため、設備設計者との打ち合わせはますます重要になります。

意匠設計の仕事で役立つスキル・資格

次に、意匠設計の仕事で役立つスキル・資格について解説します。

スキル

意匠設計は、目に見える部分を設計する仕事ですので、とくにデザイン力は欠かせません。要望や条件を整理して課題を解決していく設計や、直感での設計など、設計の仕方は人によって異なりますが、アイデアを生み出しデザインしていく力は重要です。美的センスや空間をイメージする力も求められるでしょう。

また、建築主からの要望をくみ取って理解するコミュニケーション能力も重要です。自分の設計のよさを伝え、建築士やほかの設計者からの質問への受け答えができることも求められます。

さらに、さまざまな要素を考慮しながら設計を進められるためバランス感覚も必要です。コスト・性能・スケジュール・施工性など、トータルで建物をよくする決定ができるバランス感覚が求められます。

資格

意匠設計の仕事で役立つ資格は、一級建築士・二級建築士・木造建築士です。ただし、必要な資格は扱う建物の規模によって異なるため、扱う建物に合わせて資格を選んで取得するとよいでしょう。

また、建築CAD検定試験という、建築設計におけるCADスキルを測る試験もあります。建築一般図を作成するための実力や、図面のトレース技能を試される試験です。CADのスキルが高いと作業効率も上げられるため、複数の設計に携われるようになります。

まとめ

意匠設計の仕事内容について解説しました。意匠設計は、建築主の要望を聞き取ることから始まり、詳細をまとめるところまで長期間プロジェクトに関わります。建築主が快適で安全な暮らしをするために、意匠設計を含むすべての設計の方々の手にかかっています。

そのため、意匠設計はやりがいのある魅力的な仕事です。意匠設計者になるためには、必要なスキルを身につけ、資格の取得を目指しましょう。

               

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