就業中に派遣の契約は解除できるの?

       
公開日:2024/07/15  

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さまざまな理由で退職や派遣の契約解除を考える人も多いでしょう。派遣として就業している場合、派遣先と派遣会社どちらも関わっているため、どのように契約の解除をおこなえばよいのか、そもそも就業中に契約解除が可能かわからず話しを進められない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、就業中の契約解除について解説します。

派遣の契約はかんたんに解除できない

厚生労働省では、派遣事業の適正な運営の確保と派遣労働者の保護のため、労働者派遣法が制定されています。

派遣契約は法的に大きな拘束力があり、基本的にやむを得ない理由がない限りは契約を解除することはできません。

そもそも有期雇用派遣(登録型派遣)では、契約した期間のみ派遣先で就業するため契約期間が終了すると契約は解除となりますが、期間を定めて契約しているため原則としてその期間は働く義務があり、契約を解除するには相応の理由が必要になります。

無期雇用派遣(常用型派遣)では、派遣会社との雇用契約において期間の上限が定められず、派遣先での就業期間が終了しても派遣会社との雇用関係は継続されます。

どちらの契約形態でも、労働者の権利を守るため、特別な理由がない限り派遣先や派遣会社から一方的に労働者との契約を解除してはならないことと、派遣先の都合で契約を解除する場合に講ずべき措置が労働者派遣法で定められています。

就業期間中に派遣先が契約を解除できるのは、倒産する可能性がある場合や、派遣されたスタッフが情報漏洩などの懲戒解雇に値するような問題行為をおこなった場合などです。

また、使用者側の都合で契約を解除をする場合には、派遣スタッフは相当の補償を請求することが可能で、派遣スタッフの新たな就業先の確保や、休業手当などの支払いに要する費用の負担などの措置をとることが義務付けられています。

このように、派遣契約とは法律上でもとても重みのあるもので、使用者側からはもちろん、労働者側からも簡単に契約を解除できるものではありません。

派遣会社に相談してみよう

就業期間中に労働者から雇用契約を解除する場合も、やむを得ない理由が必要ですが、どのような理由がやむを得ない理由に相当するのでしょうか。

就業に支障のない怪我や病気、引っ越しなどの家の都合では、当然ながら納得はしてもらえないでしょう。命に関わる病気や、病気や怪我で長期療養が必要になった場合、身内の介護など、社会通念上やむをえないと認められるような理由であれば、契約の解除は可能です。

しかし、人間関係の悩みや、仕事の内容が聞いていたものと違っていたり、キャリアアップを目指したいなど、契約解除をしたい理由はやむをえない事情ばかりではないでしょう。契約解除を望む場合、まずは派遣会社の担当者に相談することが大切です。

このとき、雇用契約を締結しているのは派遣会社なので、派遣先の上司に伝えるのではなく、派遣会社の担当者に話しをするようにしましょう。基本的にはやむをえない理由がない限り就業中に雇用契約を解除することはできませんが、話し合いによっては希望が叶う可能性もあります。

また、労働環境に不満があった場合は、相談することによって環境を改善してもらえるでしょう。

特に、専門性を有した優秀な人材を活用したい企業は、常用型派遣での契約をおこなっているため、派遣会社に相談することによって選定される派遣先やキャリアアップがよい方向に向かう可能性もあるでしょう。

問題解決に前向きな姿勢でいよう

雇用契約や労働者派遣法によって、さまざまなことが定められていますが、最終的に判断するのは「人」であり、しっかり話し合いをすることが大切です。

もちろん法律は守らなければなりませんが、使用者(派遣先や派遣会社)と労働者の双方が、お互いのために柔軟に対応しなければなりません。問題を解決するためには、それぞれに前向きな姿勢で対応することが求められるでしょう。

働くなかで感じる不満や違和感は、誰でも経験するものですが、思い違いや勘違いであるケースもあります。すぐに雇用契約を解除するのではなく、まずは自分が感じている気持ちや問題について相談することで、問題解決のきっかけとなり、環境の改善を見込めるでしょう。

やむをえない理由がない限り契約解除できないということは、とても不便で窮屈に感じるかもしれませんが、裏を返せば、仕事を失うリスクが限りなく低く、労働者の雇用を守っているということです。

問題解決に向けて前向きに取り組むことで、お互いにメリットのある契約を続けていけるでしょう。

まとめ

派遣の契約には種類があり、就業期間中のみ雇用される登録型派遣(有期雇用派遣)と、派遣会社の社員として派遣先に常駐する常用型派遣(無期雇用派遣)があります。どちらも法律によって、使用者からかんたんに契約解除されないように守られていますが、その分労働者にも契約を守る義務があり、やむをえない理由もなしに契約解除できるものではありません。ですが、契約を解除したい理由ができた場合は、派遣会社の担当者に相談しお互いに前向きに話し合うことで、自分だけでは解決できない問題も解決できるかもしれません。雇用先や仕事内容、雇用形態などについて不満がある場合は、早めに相談することが大切です。

               

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