未経験でも設計職にチャレンジできる?必要なスキルとは
みなさんもご承知のように、建築設計職は高度な専門知識が必要な職種です。はたして未経験者の受け皿などあるのだろうか、と将来目指す方は心配になっているかもしれません。結論からいうと、可能性は充分にあります。今回の記事では、未経験でも臆することなく挑戦できる理由を紹介します。
業界は未経験の人材でも欲しがる?
冒頭でも述べたとおり、建築設計職は専門性の高い職業としてよく知られています。手を挙げたら誰でも就けるような職業ではありません。ただし、人手不足が問題になっている状況であれば、話は別です。東京オリンピック開催前のことを思い出してみてください。
都内は建設ラッシュに沸いていました。会場となる競技場だけでなく、ホテルなどの宿泊施設も軒並みに増加。当時、ほかの建築関連の分野と同じように、設計職もまた、人手不足に陥っていたといわれています。働き手の確保が急務となる状況では、未経験の方でも比較的受け入れられやすいものです。
たとえば、設計補助やCADオペレーター、施工管理職など、設計職に近いところにいて、将来のキャリアップを目指す方にとっては狙い目といえるでしょう。高齢化で問題となっている後継者不足も、未経験者にとってはチャンスのひとつです。建築設計職は華やかなイメージがある一方、激務を強いられる職業柄ゆえに新卒者たちに敬遠されがちな傾向にあります。
この流れは、未経験で採用に臨む人には追い風となるはずです。また、企業側からすれば、長期的に仕事を任せられる人を採用したいと思うものでしょう。とくに数年にわたる大きなプロジェクトの場合、途中で転職などせず、最後までしっかりと責任を果たしてくれる人が必要です。たとえ経験がなくても長く仕事をする覚悟があれば、希望が叶う可能性もあります。
未経験者でもOK!どんなスキルを磨く必要がある?
未経験だからこその強みもあります。貪欲に仕事を覚えようという姿勢は、そのひとつの好例でしょう。未経験者は、最初の頃はミスが多くても、基本を大切にしながら、真剣に取り組んでいるうちに、本人も気づかないくらいに急成長を遂げていることもあります。そのポテンシャルを見込んで、将来、プロジェクトの全体を統率するリーダー候補として採用される可能性もないとは言い切れません。
指導する上司にとっては、教えることで新たなやりがいが出てくるうえ、業務上の基礎や大切なことを改めて再認識できます。つまり、相乗効果が生まれるわけです。もちろん、いつかのときに備えて、日頃から建築に関する勉強を怠らないのも必須事項です。1級建築士、2級建築士やインテリアコーディネーターなどの資格を取得したり、実践的なCADの技術を磨いたりすれば、憧れの設計担当者へと近づく足掛かりとなってくれることでしょう。
未経験者によくある心配ポイントは?
いろいろと説明しましたが、「未経験だけにどうしても心配の種が尽きない」と思う方もいるはずです。たとえば、一級建築士の資格を取って精力的に働いている人を目の当たりにすると、未経験の自分でも務まるのだろうか、と不安に感じるのも無理はありません。みなさんにとっていちばん気になるのは、資格を持たないことが大きなマイナスポイントになってしまうのでは、ということでしょう。
もちろん、資格があれば、仕事をするうえで周囲からの信用度も上がるうえ、仕事の幅や規模も広がります。ただ、設計補助として現場で経験を積んでいく道もあり、本人の取り組み次第でハンデを克服できるのも事実です。その際には、AutoCADなどを使った作図や設計者を助ける業務のスキルなど、実務上で役に立つ技術の習得が前提です。
そして、職場環境のことも大事な要素です。設計職特有の責任の重さはみなさんもご存じでしょう。加えて、仕事量も多く、同時進行のプロジェクトを抱えれば、いくつもの納期に追われ、自然に仕事に関わる時間が長くなってきます。
ただ一方で、設計職でないと得られない喜びがあるのも確かなことです。ずっと携わってきたプロジェクトがようやく終わり、完成物を目の前にすれば、これまでの努力が報われた達成感に、感情が揺さぶられるはず。
もうひとつ大きな問題は、設計職を希望する女性のみなさんが自分の能力を発揮できる余地はあるのか、ということでしょう。昔と比べて今は、産休や育児休暇などのフォロー体制が整えられ、安心して働ける環境がそろってきています。
何を優先して決断、実行するのか、人によってそれぞれ違うことです。自分なりに整理したうえで、夢の実現へと進んでみてください。
まとめ
繰り返しになりますが、設計職への道は、未経験のみなさんでも充分にチャンスがあります。CADオペレーターからのキャリアアップ、あるいは、施工管理職からのキャリアチェンジを望む方も同様です。自分で設計した建物が完成したときの充実感は、きっとたとえようがないものでしょう。あとはスタートラインに立つかどうかだけが問題になってきます。本記事で紹介した内容が、未経験でありながら、強い意志をもって設計職を目指すみなさんの後押しになれば幸いです。